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今年の大虐殺はどう始まるか(2017年5月30日 藤田明希)

敢えてものものしいタイトルを付けましたが、元ニュースのタイトルは「How the transgenic petunia carnage of 2017 began」(直訳「2017年の遺伝子組み換えペチュニア大虐殺はどう始まるか」)です。carnageは大虐殺とか修羅場という意味で普段日常的に使われる単語ではありませんが(私も辞書を引きました)ペチュニアに対して敢えてそれが使われているところに、危機感と皮肉とが入り混じった複雑な心情が覗けます。

この問題がやや皮肉なのは遺伝子組み換えペチュニアには全く罪はなく、それをどのような経路からかは分からないにしても拡散させてしまった人間に罪があるからです。当然ですがこのペチュニアは人に対して害があるわけではありません。むしろ観賞用に綺麗に発色する遺伝子を組み込まれているものです。とはいえ、遺伝子組み換え作物と同様、外部に漏らしておくのは不適切ということで大虐殺(=駆除)の対象となるわけです。

日本で明示的に駆除の対象となる植物は遺伝子組み換えのものよりも、麻薬成分を含む可能性があるものです。例えば近年広がって話題になったアツミゲシなどです。これはある一定の悪意の元に人に害をなすことがあるため駆除されるのは感覚的に納得がいくところです。

近年は日本でも外来種の在来種に対する脅威や外来種との交雑種の存在が指摘されています。今のところこれらの問題に対してはかなり原理主義的に対応がなされ、例えば交雑種のニホンザルとアカゲザルの交雑種が殺処分になった例もニュースになっていました。ペチュニアの大虐殺では遺伝子組み換え植物の漏洩への危機感とどうせ不可能だから…という諦め、そして原理主義的対応を取らざるを得ない皮肉がないまぜになっているように思われます。交雑種の典型である人類の一人として極端な原理主義に基づく行動にはある種の恐怖を覚えますが。ペチュニア位の諦め含みがちょうど良いと思います。

ニュース元(Science.com)
How the transgenic petunia carnage of 2017 began

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