電磁波解析(マイクロ波)円筒キャビティの位相制御シミュレーション
Abstract
電磁波解析ソフトKeyFDTDを使用して円筒キャビティの位相制御シミュレーションを行った。位相制御はキャビティ内に位相差のあるマイクロ波を入力することで電磁界分布を制御する手法である。TM110モードとTE111モードという2つの電磁界モードが共振するようにループアンテナを模擬した磁界励振源を円筒キャビティに配置し、位相差を0、90、180度とした場合の電界分布を解析した。解析結果より、TM110、TE111モードのどちらも、位相差0度と180度の場合は分布の角度変化のみで分布自体に変化がなかったが、位相差90度の場合は円筒キャビティ内の電界強度の均一化に最適であった。本研究により位相差を与えることにより、電磁界モードの分布を変化させ電界分布を均一に近づけられることが確認できた。
The phase control simulation of a cylindrical cavity was performed using the electromagnetic wave analysis software KeyFDTD. A magnetic field excitation source simulating a loop antenna was placed in the cylindrical cavity to resonate two electromagnetic modes, TM110 mode and TE111 mode, and the electric field distribution was analyzed when the phase difference was 0, 90 and 180 degrees. From the analysis results, it was found that in both TM110 and TE111 modes, there was only an angular change in the distribution and no change in the distribution itself when the phase difference was 0° and 180°, while the phase difference of 90° was optimal for homogenizing the electric field strength in the cylindrical cavity. In this study, it was confirmed that the distribution of the electromagnetic field modes can be changed and the electric field distribution can be made close to uniform by giving the phase difference.
円筒キャビティの位相制御加熱シミュレーション結果
1. 解析概要
位相制御による集中、または均一加熱の研究が半導体発振器の発展に伴い盛んに行われている。今回は円筒キャビティを電磁波解析ソフトKeyFDTDで解析し、加熱分布の理解に重要な電界分布について位相制御による変化を検討した結果を報告する。
2. 解析条件
解析モデルをFig.1に示す。円筒キャビティの寸法は直径150mm、高さ70mm、メッシュ幅は1mm(≒λ/122)である。点源を共振モードにあわせ、TM110モードはキャビティ高さ中心の側面に90度ずらして2箇所、TE111モードはキャビティ上下面の中心に1箇所ずつ配置した。TM110モードは円周方向、TE111モードは半径方向に励振方向を設定した。周波数は2.44GHz、ループアンテナをループから発生する交番磁界を点源に与えることで模擬した。点源の位相差を0、90、180度で励振した際の電界分布を確認した。
Fig.1 Simulation model
3. 解析結果
Fig.2、3、4はTM110モード、Fig.5、6、7はTE111モードの位相差0、90、180度における高さ中心のxy平面電界分布である。TM110モードの場合、位相差0度はTM110モードの電界分布、位相差90度はドーナツ状の電界分布、位相差180度は位相差0度を90度回転させたような電界分布を示した。位相差に関わらずTM110モードでキャビティ中心に点対称でない原因は、点励振源の配置がキャビティ中心に対して点対称でないことが考えられる。
TE111モードの場合、位相差0度はTE111モードの電界分布、位相差90度はxy平面の円周方向に均一な電界分布、位相差180度は位相差0度を90度回転させたような電界分布を示した。TE111モードでは点励振源の配置がキャビティ中心に対して点対称であるため、対称な電界分布が得られている。TM110、TE111モードどちらも位相差0度、180度は分布の角度変化のみで分布自体に変化はないため、位相差90度が円筒キャビティ内の電界強度均一化に最適だと考えられる。
4. まとめ
電磁波解析ソフトKeyFDTDで円筒キャビティの位相制御をシミュレートした。位相差を与えることにより、電磁界モードの分布を変化させ電界分布を均一に近づけられることが確認できた。
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