電磁波解析(THz)Bull’s eye構造の解析
Abstract
電磁波解析ソフトKeyFDTDを使用してテラヘルツデバイスの一つであるBull’s eye構造を解析した。Bull’s eye構造はテラヘルツ波のイメージング技術応用に向けて、空間分解能を向上させることを目的としている。Bull’s eye構造は中心の微小開口周囲に回折格子(同心円状の溝)を付加した構造である。電磁波が回折格子に共鳴することで透過特性が改善する。実験[1]とFDTD解析の結果を比較し、実験の傾向と一致する良好な結果が得られた。また、共鳴波長でBull’s eye構造両面の回折格子に共鳴する様子を確認した。
The structure of Bull’s eye, one of the terahertz devices, was analyzed by using the electromagnetic wave analysis software KeyFDTD. The Bull’s eye structure is intended to improve the spatial resolution for the application of terahertz wave imaging technology. The Bull’s eye structure has a diffraction grating (concentric grooves) around the central micro-aperture. The resonance of electromagnetic waves in the diffraction grating improves the transmission characteristics. The results of the FDTD analysis were compared with those of the experiment [1], and the results were found to be in good agreement with the experimental trend. In addition, we confirmed the resonance in the diffraction gratings on both sides of the Bull’s eye structure at the resonance wavelength.
1. 解析概要
テラヘルツ波のイメージング技術への応用には空間分解能の確保が重要であり、一般に微小開口をもつ金属板が用いられる。Bull’s eye構造は透過率を改善するために、微小開口を中心に同心円状の回折格子を付与している。特定波長で回折格子に共鳴することにより、透過特性が改善する。また裏側にも回折格子を付与すると、電磁波が直進性の高いモードに変化して伝播する。本文書では、両側に回折格子を持つBull’s eye構造をFDTD法によりシミュレートした結果を報告する。
2. 解析条件
Bull’s eye構造の形状をFig.1に示す。Bull’s eye構造は完全導体とした。Table.1の解析条件のもと、電磁波解析ソフトKeyFDTDTRで解析、透過スペクトルを導出した。
Fig.1 Bull’s eye structure
Frequency | |
---|---|
Boundary condition | |
Computational domain | |
Mesh size | |
Timestep |
3. 解析結果
FDTD法による解析と実験結果[1]の比較をFig.2に示す。FDTD解析では、λ=213[μm]付近にピークが得られた。透過率が大きいλ=213[μm]と透過率の小さいλ=240 [μm]の電界強度分布をFig.3に示す。中央にBull’s eye構造があり、左から右に電磁波が進行している。Fig.3 (a)ではBull’s eye構造両側の回折格子で共鳴を起こし、直進性の高いモードで伝播する様子が見て取れる。Fig3 (b)ではBull’s eye構造裏側の回折格子では共鳴が起きず電磁波がほぼ全て反射している。
解析結果の透過率ピークが実験と比較して長波長側にシフトした原因は、文献にBull’s eye構造の厚みが記載されておらず構造の厚みが再現できていない点や、メッシュ幅に起因する形状誤差の影響が考えられる。
4. まとめ
電磁波解析ソフトKeyFDTDを用いてBull’s eye構造のシミュレーションを行い、実験の傾向と一致する良好な結果が得られた。また、特定の波長でBull’s eye構造両面の回折格子に共鳴する様子が確認できた。
The simulation of the Bull’s eye structure was carried out using the electromagnetic wave analysis software KeyFDTD, and good results were obtained in agreement with the experimental trend. In addition, we observed a resonance in the diffraction grating on both sides of the Bull’s eye structure at a specific wavelength.
[1] 三瓶有輝他, “表面波共鳴テラヘルツ波共振器デバイスの動作解析”,電気関係学会東北支部連合大会講演論文集,2013/8
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