電磁波解析(光学)光の屈折角を遠方界で再現するシミュレーション
Abstract
電磁波解析ソフトKeyFDTDを使用して光の屈折角を遠方界で再現するシミュレーションを行った。水、ガラス、サファイアの平滑界面に斜入射する系をシミュレーションし遠方界から屈折角を求めた。遠方界から算出した屈折角は、理論値から2~3[deg]の誤差で実用上問題ない範囲であることを確認した。
The refraction of light was simulated using the electromagnetic wave analysis software KeyFDTD. We simulated a system of oblique light incidence on the smooth interface between water, glass and sapphire and estimated the refractive angle from the far field. The refractive angle calculated from the far field is within a practical range of 2-3 [deg] from the theoretical value.
1. 解析概要
サブ波長スケール構造が加工された界面の光学特性研究の一環で行われる光学特性シミュレーションはFDTD法が最も活用されている分野の一つである。本報告書では一定の入射角で3種類の平滑界面に入射する電磁波の屈折をシミュレーションした結果を報告する。
2. 解析条件
解析モデルをFig.1に示す。
Fig.1 Simulation model
解析領域は2次元のxz面でx、z方向の境界条件は全て無反射端としてPMLを設定した。W4500×H2000[nm]、メッシュ幅5[nm](≒λ/100)の解析領域内で入射角60[deg]でp偏光、波長500[nm]の正弦波を真空から界面に向けて入射した。界面を成す媒質は水(n = 1.33)、ガラス(n=1.524)、サファイア(n=1.766)を設定した。上記条件で電磁波解析ソフトKeyFDTDで解析し、定常状態における遠方界を1[deg]刻みで算出した。
3. 解析結果
Fig.2~4に得られた遠方界をz軸方向を0[deg]、x軸方向を90[deg]として示す。励振源は両側に平面波を励振するため300[deg]にも伝搬成分が存在する。各チャートの第4象限の遠方界ベクトルの合成ベクトルが指す方向を屈折角として算出した。それぞれ屈折角、水:39[deg]、ガラス:32[deg]、サファイア:26[deg]を得た。入射角と各媒質の屈折率から予想される屈折角は水:41[deg]、ガラス:35 [deg]、サファイア:29[deg]であり、解析結果は理論値より2~3[deg]小さい値だが、実用上問題ない範囲で一致した。
4. まとめ
電磁波解析ソフトKeyFDTDを用いて光の界面における特性をシミュレートした。理論値と2~3[deg]の誤差で屈折角が導出できることが確認された。