所信表明演説の短縮版?
実は多少の知遇がありネット配信を中心に最近、注目を集めている記者を指名。
政治ネットニュースの網野です。首相ご自身の政策についてお聞きします。首相は3つの大改革として税制、社会保険制度、保護と規制の見直しを挙げられています。それぞれに大きなテーマで一度に取り組むのは無理ではないかと見る向きもあります。優先順位や重点などについてお考えがありましたらお聞かせ願います。
実際の言葉
まず税制と社会保険制度に関する点が特に影響も大きく重要と考えるため個別に挙げていますがこの3つは現在の法制度を現在の価値観に更新するという点で一貫しており、どの点に重点があるという性質のものではありません。代表的なものとして税制と社会保険制度について挙げているということです。したがって優先順位というよりも個々に更新が必要なものであるとの認識です。
以下、少し長いので省略(クリックすると展開します)
まず、税制についてですが旧来から私は税制に関しては特に個人所得における基礎控除・扶養控除の拡張と配偶者控除及び配偶者特別控除の廃止を訴えております。共働き世帯が増加している昨今、配偶者に関する控除の存在は働き控えを誘発します。この枠を拡大するという論もありますが、そもそも配偶者控除は旧来の専業主婦を前提にしている制度でありこの拡大による働き控えの抑制は原理的に現在の家族観と相反しています。そこで配偶者に関する控除制度を廃止し扶養控除に統合、また扶養控除を拡充することで様々な層の税負担を現状から大きく変化がないようにするというのが改革の1つです。
社会保険制度については年金の第三号被保険者の第一号被保険者への移行と第三号制度の廃止を目標としております。これについては現状の第三号被保険者の方の負担が大きくなるものです。したがってこの緩和策を現在税制と合わせて検討しています。これについても先程申し上げましたとおり旧来の家族観を基にした制度ですので現代社会に合わせていくことが必要と考えております。
3つ目の保護と規制の見直しについてです。先程から申しております配偶者に関する税制と社会保険の問題は、専業主婦世帯に対する保護であると同時に主所得者の配偶者が働くことに関する規制として働いている側面があります。これは制度が現在の家族観や価値観と乖離していることが原因と考えております。同じようなことは農業における農地法などでも起こっております。この点については法制度刷新特任大臣を副首相である毛利殿に担当していただき、現状でどのような問題がありその解決はどのように行えるかを提言していただくこととしております。
3つの大改革と申し上げておりますが実は古くなった制度を現代の価値観に合わせていくという点で一貫していることをくどいようですが申し上げます。
(心の言葉)
所信表明演説をやってしまった。まあ、これだけ話せば満足である。うむ。先程まで疲れなど感じてなかったが…ちと疲れたな、もう記者会見終わって良いぞ。
思いは司会に伝わらず、司会は更に質問を促した
仕方なく先程の網野記者と別のネットニュースで注目を集めているライバル記者を指名する。
政治ウェーブの波田です。経済産業大臣に大道寺政繁氏を当てられました。実績を鑑みますとむしろ防衛大臣に向いているのではないかとの声がありますが、武田氏と大道寺氏の担当についてお聞かせください。また外務大臣に本多正信氏を登用されております。徳川派である本多氏の登用は意外な人事と言って差し支えないと思いますが、登用に至った経緯をお聞かせください。
実際の言葉
まず大道寺殿ですが確かに防衛関連での業績が一般には知られているようです。しかし大道寺殿の内政手腕、特に制度整備における辣腕に私、北条は注目し就任をお願いした次第です。またこれまで日本国内において防衛関連事業はー特殊ーとされてきて防衛省及び防衛装備庁が独自に活動するという傾向がありました。
所謂縦割りの弊害と言っても良いでしょう。実際には技術開発・進展と防衛の問題は一体化して考える必要があり、特に経済産業省との連携は重要という点から両面に優れた大道寺殿を起用しました。
外務大臣の本多殿については党派を抜きにしてその手腕を活かしていただきたく就任をお願いしました。内閣官房の今川殿とは過去に連携した経験もお有りですから、内閣官房と外務省の連携も期待しての人事です。
(心の言葉)
大道寺がもともとは北条の宿将で川越を中心として良い政治を執っていたことを知らないのか、この記者?大体だ、戦国武将というと戦ばかりに注目して政治を見ないのは最近の駄目な風潮だな。これは当時の武将が政治家でもあったということを今一度思い出させてやらずばなるまい。それに本多は徳川派だが古くは徳川とともに今川に仕えていた身。今川が入閣するなら本多の手腕を使わない手はない。我ながら、なんとうまい手を考えるものだ。
それにしても、長いな。そろそろ終わりにするサインを司会に送るか。
司会は それではそろそろ時間ですので最後の…
(心の言葉)
時間ならもう終われよ。もう引っ込んで一休みさせろ、昨日から寝てないんだぞっ。この無能司会がっ!
…そしてまだまだ会見は続いた…。
内閣総理大臣 北条氏康(エピローグ あるおでん屋の風景)に続く
この物語はもちろんフィクションです。