お手本はヤモリ(2017年6月30日 藤田明希)
宇宙で平らなものを掴むのはかなり大変です。例えば宇宙ステーションの外壁沿いに移動したいとき、外壁に取っ手が付いていない限りはかなり困難を伴います。地球上ならゴム吸盤が使えますが、真空の宇宙では役に立ちません。軽い粘着性のテープのようなものを用いるとしても、宇宙空間では強い紫外線やX線を含む宇宙線に晒されるためすぐに劣化してしまいます。
その問題を解決するためにヤモリの手をお手本に平らな面にくっつく手袋が開発されました。つるつるのガラスにくっついて移動するヤモリを思い出してください。あのような感じで平らな面にくっつく手袋です。
この手袋は粘着性の物質が使われているのではなく、ヤモリをお手本に接触面に非常に細かい繊維をたくさん配置することで摩擦を向上させて、平らな面にくっつきます。この手袋の実験を地球上で急降下する飛行機を用いた模擬無重力下で行っている動画がScienceのWEBで公開されています。
説明なしに動画だけ見ると、この大人たちは何をやっているのだろうという不思議な場面もあります。この手袋、ゆくゆくは地球上を高速で周回している危険なデブリ(宇宙ゴミ)の除去作業で使えるのではないかと目論んでいるようです。宇宙掃除のお手本はヤモリなのです。
ニュース元 Science(WEB)
Watch astronauts play catch with a gecko-inspired gripper