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海水で強くなるコンクリート(2017年7月4日 藤田明希)

幼少期に海岸近くの町で住んでいた私の記憶では、飛んでくる波しぶきはろくなことはありませんでした。当時塗装が現代ほどしっかりしていなかった車はや家の窓の手すりなど鉄製品全般錆びてしまう印象でした。

塩分を含んだ海水がダメージを与えるのは鉄だけではなくてコンクリートも被害を受けるようです。ところがローマ時代のコンクリートは海水の中でよく保存されています。何故でしょうか。

この回答がNatureに掲載されていました。現在のコンクリートはポルトランドセメントと石灰石や粘土から得られる細かい粉を水に溶いて小さな石を固め合わせます。このコンクリートは海岸近くの環境では劣化しやすいのですが、ローマ時代のコンクリートは火山灰と石灰石を小さな石の固め合わせに使い、海岸線近くでも劣化しないコンクリートを作っていたのです。

このコンクリートは塩水に弱いどころか塩水中で特殊な結晶が成長してむしろ強くなるという特徴があるそうです。なら全部のコンクリートを火山灰から作ればよいのにと思います。ところが、この記事で取り上げられているユタ大学の研究者Marie Jacksonは「身の回りのインフラに使われているコンクリートにこの(=ローマ時代の)コンクリートが使われるべきと言っているわけじゃないのだけれど」と語っていて理由は書いていません。火山灰の調達はそんなに簡単でもないのかもしれません。東京にいる私にとっては富士山から火山灰が供給されないことを祈るばかりです。

ニュース元 Nature
Seawater is the secret to long-lasting Roman concrete

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