FDTD法で仮定されていること
【電磁波解析と仮定】
FDTD法で仮定されていることと注意点・対処
FDTD法でシミュレーションを行う場合に、確認しておくべき定式化やモデル化上のポイントを表にまとめました。以上のポイントは解析対象によっては当てはまるものも、当てはまらないものもありますが、知識として持っておくことで、シミュレーションに関する理解がさらに深まります。
マクスウェル方程式・構成方程式由来
仮定: 電磁界の損失は電流に基づく
実際には誘電損失や磁性損失も存在する。誘電損失は電流の項に丸め込まれ、磁性損失は次項の追加項で対応する。
仮定: 磁界の損失はない
金属粒子などでは磁界による加熱があり得る。シミュレーションではマクスウェル方程式に本来含まれない項を追加した式を用いる。
仮定: 電磁界の変化に分極は十分に速く応答する
液体やイオン溶液ではしばしば分極が電磁界の変化に対して遅れる。これを考慮するためには電束密度を誘電率と電界の積の畳み込み積分で評価する。この方法をRC法と呼ぶ。この畳み込み積分では分極のモデル化が必要で次項のDebye, Drude, Lorentz分散モデルが代表的に使用される。
仮定: 電磁界の変化に分極は十分に早く応答し量的に定常化する(D=εE)、かつその大きさは電磁界を打ち消すほどではない(ε≧1)
液体などで遅い配向分極を考慮する場合Debye分散でモデル化される。また自由電子やイオンの運動で分極が電磁界を打ち消す大きさで起こり、電気伝導性を示す場合DrudeモデルやLorentzモデルでモデル化される。いずれのモデルもシミュレーションで適用するにはRC法やPLRC法が前提となる。
物性値
仮定: 混合物の誘電物性は体積を考慮して求められる
妥当しない場合がある。特にハニカムなど構造の方向性が強いもののモデル化は体積考慮の平均物性では妥当しない場合が多い。
仮定: 等方的である
構造が存在する場合は異方性が存在する。構造の例は大きいものではハニカムが代表的だが高分子の分子並びや結晶の方向性などでも異方性が生じる。異方性の考慮は誘電率テンソルεijで行われるが測定値が存在しない場合も多い。
励振源に関する事項
仮定: 理想的なモードで励振される
実機では給電部分からある距離を置いてモードが発生するケースが多く、この影響が大きくなるシミュレーションでは注意が必要。(アイリス・給電部の距離のシミュレーションなど)
仮定: 給電部は細かい構造が多い
細かい構造をシミュレーションで再現しようとすると、計算コストが増大し難易度も上がる。目的に合わせて簡略化したモデリングが有効かつ必要。
メッシュによる近似
仮定: 曲面は階段状で近似できる
波長に対して十分なメッシュが確保されている場合は問題ない場合もある。定量的に分布の対称性が確保できない場合がありこの時はメッシュを少しずつ増やして解析結果を確認する。
収束性について
仮定: 解析結果は定在波が得られている
実際に解析対象の系が定常状態になり定在波が分布しているかは解析領域の代表的な点で入力波形に近い波形が得られているかを確認する必要がある。
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