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ムラサキの花は白かった(2017年7月21日)

あかねさす むらさきのゆき しめのゆき 野守は見ずや 君が袖振る(額田王)
むらさきの にほへる妹を 憎くあれば 人妻ゆえに 我恋めやも(大海人皇子)

万葉集の相聞歌でも最も有名な2種ではないでしょうか。紫色の花が咲き乱れる野原で、男性が恋しい女性に向かって袖を振っている姿が想像されるイマジネーションをかき立てられる歌です。

ところがムラサキの花は白くないのです。何故ムラサキと名がついているかというと根に紫の色素を持っており、それが古来から日本で利用されてきたからと考えられています。まさか紫の根っこを持って袖を振っているわけではないでしょうから、歌のムラサキは花のムラサキを直接意味しているのかどうか?

紫は古くから高貴の色として扱われていたので、むらさきのゆきは天智天皇の「野への行幸」、むらさきのにほへる妹は天皇の側室(当時明確な側室制度はありませんが)を意味しているのかもしれません。私の勝手な読みですが。

なお天智天皇と大海人皇子は実の兄弟で天智天皇の息子、大友皇子と大海人皇子が帝位をめぐって起こした大乱が壬申の乱です。この歌からはまだそのような戦のにおいは全く感じ取れませんね。

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