長寿を祈って簪に⁉万葉集草木シリーズ36.ヤドリギ

ヤドリギ（寄生木、宿木、学名：Viscum album）は、は、欧州・西南アジア原産で、ビャクダン科ヤドリギ属の半寄生常緑潅木です。ポプラ（Poplar）などの落葉樹の幹に寄生根を食い込ませ水分と養分を吸収して成長します。万葉集では「ほよ」という名前で詠まれています。

大伴家持が万葉集で「ほよ」の歌１首を詠んでいます。「ほよ」（ヤドリギ）は、枯れ木のシーズンに、常緑で球形をしているので、西洋ばかりでなく日本でも特別な生命力があると信じられました。今から約1300程前の歌です。

天平勝寶二年正月二日於國廳給饗諸郡司等宴歌一首
天平勝宝２年１月２日（西暦７５０年２月１２日）、国庁にして饗（あへ）を諸（もろもろ）郡司（ぐんし）等（ら）に給ふ宴の歌一首

安之比奇能夜麻能許奴礼能保与等理天可射之波知等世保久等曽

安之比奇(あしひき)能(の) 夜麻(山)能(の)許奴礼(こぬれ)能(の) 保与(ほよ)等理天(取りて) 可射之(かざし)都良久(つらく)波(は) 知等世(千年、ちとせ)保久(寿く)等曽(とぞ)
↓
あしひきの山の木末（こぬれ）のほよ取て挿頭（かざし）つらくは千年（ちとせ）寿（ほく）とぞ

山の梢から　ヤドリギ(ほよ）を取って　簪（かんざし）にしているのは　千年の長寿を祈ってのことだよ。

ブログ