防人の歌は悲しみで一杯!万葉集草木シリーズ43.ヤブマメ
ヤブマメ(藪豆、学名:Amphicarpaea edgeworthii var. japonica)は、日本や中国などの東アジア原産で、マメ科ヤブマメ属の蔓性一年草の野草です。蔓は細長い針金状で、他の植物に絡み付きます。秋に、短い花穂(総状花序)を伸ばし、淡赤紫色の旗弁に、淡紫~白い翼弁と竜骨弁を持った蝶形の小花を数個咲かせます。花後、莢隠元(インゲンマメ、隠元豆の若さや、学名:Phaseolus vulgaris)を小さくしたような扁平な豆果を成らせます。万葉集では「マメ」として1首詠われています。万葉集では防人が、妻と別れる時の悲しみを詠っている歌が多いです。
万葉集 第20巻4352番歌
作者:天羽郡(あまはのこほり)の上丁(うえつよぼろ) 丈部鳥(はせつかべのとり)
題詞:天平勝寳七歳乙未二月相替遣筑紫諸國防人等歌
原文
美知乃倍乃 宇万良能宇礼尓 波保麻米乃 可良麻流伎美乎 波可礼加由加牟
よみ
美知乃倍(道の辺)乃(の) 宇万良(茨、うまら)能(の)宇礼(末、うれ)尓(に) 延(は)保(ほ)麻米(豆)乃(の) 良麻流(絡まる)伎美(君)乎(を) 波可礼(別れ、はかれ)加(か)由(行)加(か)牟(む)
↓
道の辺の 茨の末に 延ほ豆の 絡まる君を 別れか行かむ
意味
道端の茨の先に 這い付く豆のように 絡みつく妻を(置いて) 別れて行くのだろうか。
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