蟹→堪忍して、何でワイやの!? 万葉集草木49.ハルニレ
ハルニレ(春楡、学名:Ulmus davidiana var. japonica)は、日本原産で、ニレ科ニレ属の落葉広葉高木です。普通、ニレと言えば、このハルニレを指します。
万葉集では「もむにれ」でという名で長科歌があります。
万葉集第16巻 3886番歌
作者:作者不詳(乞食者)、題詞:乞食者詠一長歌
万葉名:もむにれ(登場植物名:楡、ハルニレ)
原文
忍照八 難波乃小江尓 廬作
難麻理弖居 葦河尓乎 王召跡 何為牟尓 吾乎召良米夜
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毛武尓礼乎 五百枝波伎垂 ← (ハルニレ)
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ここでは、以下、省略、ハルニレページをご参照ください。意味は下に全訳あります。
読み
忍(おし)照(てる)八(や) 難波(なには)乃(の)小江(をえ)尓(に) 廬(いほ)作(つくり)
難麻理(なまり、隠り)弖(て)居(をる) 葦河尓(あしがに、葦蟹)乎(を)
王(おほきみ)召(めす)跡(と) 何(な)為(に)牟(せむ)尓(に)
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毛武尓礼(もむにれ)乎(を)← (ハルニレ)
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ここでは、以下、省略。意味は全訳あります。
意味
ワイは難波の小江に住処を作り 隠れ住んでる葦蟹(あしがに)や
大君がワイを召すという。何でワイなの。
明らかなことは、歌人とワイを、笛吹き人とワイを、琴弾き人とワイを、一緒に所望なさったらしい。
お召しをお受けしようと、今日の今日 飛鳥に至り、置くとも置きなに至り、
つかないとの 都久野に至り、東の中の御門より参内し 用命をお受けたんやが、
ワイが馬なら手綱、牛なら鼻輪で、
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片山のニレの木 ← (ハルニレ)
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に繋ぎ止めんやけど、ワイは蟹ゆえに 幾日も日に干し、カラカラに囀ると
韓臼で搗(つ)き、庭に立、手臼で搗(つ)くのやなぁ。
で、難波の小江の濃く辛い初塩(初垂)を 陶職人の作る瓶(かめ)に垂らし込む。
その瓶を早急に取り寄せて ワイの目に塗り込める。
そして、干物にさらし、干物にさらすんやで。
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