行倒れた娘に捧げる挽歌、万葉集草木62.ゴヨウツツジ
コゴヨウツツジ(五葉躑躅、学名:Rhododendron quinquefolium)は日本固有種でツツジ科ツツジ属の落葉性広葉小中木です。ツツジの仲間としては大木になります。万葉集では「白ツツジ」という名で詠まれています。
万葉集巻 第3巻 434番歌
作者:河邊宮人(河辺宮人、かはべのみやひと)
題詞:和銅四年辛亥河邊宮人見姫嶋松原美人屍哀慟作歌
西暦711年河辺宮人(が)姫嶋(ひめしま)の松原(に)美人(よきひと)の屍(かばね)を見て、哀慟(かなしびて)作(れる)(挽)歌
詠われている万葉植物名:白ツツジ(現代名:ゴヨウツツジなど)
原文
加座夜能 美保乃浦廻之 白管仕 見十方不怜 無人念者
訓読
加座夜(風早)能(の) 美保乃(の)浦廻(うらみ)之(の) 白管仕(つつじ) 見十方(見れども)不怜(さぶし) 無人(亡き人)念者(思へば)
↓
風早の 美保の浦廻(うらみ)の 白つつじ 見れども寂し 亡き人思へば
意味
風早の 美保の浦の白つつじを 見ても寂しい。亡くなった娘さんを思うと。
旅の途上で出会った、行き倒れの娘さんの死骸を見て、魂を慰めるために詠んだ挽歌。
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