妻の代作しちゃった!?万葉集草木63.カヤ
カヤ(学名:Torreya nucifera)は日本等原産でイチイ科の常緑針葉高木です。春に雄花は長楕円形の黄花を、雌花は無柄で枝先に密集させて中央に1個の胚珠をつけます。果実はアクを抜いて食用とします。材質は淡黄色で緻密、碁盤や彫刻用材に用いられます。万葉集には「カヘ」ちう名前で出ています。長歌なので途中を端折ります。
万葉集 巻19 4169番歌 (長歌)
万葉集 第19巻 4169番歌、作者:大伴家持
題詞:為家婦贈在京尊母所誂作歌
(妻が、都にいる母に贈ために、家持が頼まれて作った歌)
時期:天平勝宝2年3月、詠われている植物:カヘ(=柏:カヤ)
原文
霍公鳥 来喧五月尓 ・・・途中略・・・ 奈呉乃海部之 潜取云 真珠乃 見我保之御面 多太向 将見時麻泥波 松栢乃 佐賀延伊麻佐祢 尊安我吉美
訓読
霍公鳥(ホトトギス) 来喧(鳴く)五月(サツキ)尓(に)・・・途中略・・・
奈呉乃(の)海部(あま)之(の) 潜取(かずき採る)云(といふ) 真珠(白玉)乃(の) 見我(が)保(ほ)之(し)御面(みおもわ) 多太(ただ)向(かひ) 将見時(見む時)麻泥(まで)波(は) 松(まつ)栢(かへ=カシワ)乃(の) 佐賀延(栄)伊麻(今)佐祢(さね) 尊安(き)我(我が)吉美(君)
↓
ホトトギス 来喧(鳴く)五月に・・途中略・・・
奈呉のあまの 潜採るいふ 真珠(白玉)の 見がほし御面(みおもわ) ただ向かひ 見む時までは 松(まつ)栢(かへ=カシワ)の 栄え今さね 尊き我が君
訳
ホトトギスが来て鳴く5月に ・・途中略・・・
奈呉の海女が 潜って採るという 真珠のように 見たいお顔 直接お逢いする時までは 松や柏(カヤ)のように元気でいて下さいね、お母様。
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