万134. 家持君、切ない😭 忘れ草（藪萓草）万葉集の草木

ヤブカンゾウ（藪萓草）は中国原産で、ススキノキ科ワスレグサ属の多年草です。鮮橙色で八重咲きの一日花を咲かせます。花が1日で終わるので英名ではDaylily（デイリリー）と呼ばれます。

万葉集と忘れ草（カンゾウ）

万葉集で忘れ草（今のカンゾウ属の花、ヤブカンゾウなど）を詠んだ歌は2種であり、ハギ（萩、学名：Lespdezap.）や梅（ウメ、学名：Prunus mume)と比べると遥かに少ないです。

作者：大伴家持
題詞：大伴宿祢家持(おおとものすくねやかもち)従久邇京(くにのみやこより贈坂上大嬢(おおとものさかのうえのおおをとめに)歌五首
登場する草木：萱草（カンゾウ）

萱草　吾紐二付　香具山乃　故去之里乎　忘之為

萱草（忘れ草、カンゾウ）　吾（我が）紐二（に）付（く）　香具山乃（の）　故去（古りに）之（し）里乎（を）　忘（れむ）之（が）為（ため）
↓
忘れ草（カンゾウ）　我が紐に付く　香具山の　古りにし里を　忘れむが為

（憂いを忘れられるという）忘れ草を　私の（着物の）紐に付けました。　香具山の　古里を　（いっそ）忘れてしまうために。
単身赴任で大宰府支局に勤務する家持君、望郷の念に堪えかねて、いっそ故郷なんか忘れてしまいたいと「忘れ草」にすがったが、．．．。