源002.蓮 源氏物語の草木シリーズ 第2話
源氏物語の草木
第2話
帝と、帝の寵愛を一心に受け女御たちに妬まれる桐壺更衣の関係を、殿上人たちは唐の楊貴妃の例を持ち出して噂した。
「いとまばゆき人の御おぼえなり。唐土にも、かかる事の起こりにこそ、世も乱れ、悪しかりけれ」(源氏物語)
「大変なご寵愛ぶりだ。唐の国でも、このような起こって、世が乱れる、悪い先例があった」(意味)
長恨歌より 楊貴妃の容貌
「絵に描ける楊貴妃の容貌は、いみじき絵師といへども、筆限りありければいとにほひ少なし。大液芙蓉●●●も、げに通ひたりし容貌を、唐めいたる装ひはうるはしうこそありけめ、なつかしう らうたげなりしを思し出づるに、花鳥の色にも音にもよそふべき方ぞなき。」(紫式部)
「絵に描かれた楊貴妃の容貌は、優れた絵師でさえ、筆力に限界があるのでまことに生気に乏しい。太液の芙蓉(楊貴妃の顔の例え)、【●●●】(同じく●の例え)も、実際歌の通りの容貌であるし、唐風の衣装は麗しくはあるだろうけれど、帝は桐壺更衣の懐かしく可愛らしさを思い出されると、花の色や鳥の鳴き声にも、比べるものがない最上のものであった。」(意味)
ここで、「太液芙蓉」とは、中国唐の詩人白居易が後に詠んだ「長恨歌」の漢詩の中に出て来る「太液池のハス」のことで、楊貴妃の美しい顔をハスに例えています。●●●は別の期先なので、第3話でお話しします。
ハス(蓮、学名:Nelumbo nucifera)とはインド原産でハス科ハス属の耐寒性落葉多年草の水生植物です。世界の熱帯・温帯域の蓮田、泥沼、池、水田で栽培されます。
蓮の花については、こちらをご覧下さい。
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