■とある日の昼食時
M:「検診って検査項目多過ぎるよね。」
S:「世の中に結核が蔓延してた頃の検査をそのまま今もやっているからなんですよ。」
M:「ふ〜ん、良く知ってるね。でも、今はそんな時代じゃないでしょ。必要最低限の検査だけで良いのにねっ!」
S:「ねっ!って私に言われても困ります。ところで、(貴方は検診に)随分と行ってないんじゃないですか?」
M:「うっ、やっぱそう来る、ヤバイ。ほんの5〜6年かな。」
S:「思ってたよりも酷いですね。どこか悪いところはありませんか?」
M:「頭が悪い、容姿が悪い、運が悪い、それから、...」
S:「はいはい、分かりました。そんなことは聞いてません。すぐにはぐらかすんだから。今年こそは
絶対に行ってくださいね!」
M:「やだ」
S:「最近TVで見たんですけど献血すると、結果を詳しく教えてくれるそうですよ。
血液検査だけですから、いわゆるあなたの言う所の、まさに必要最低限の検査じゃないですか。」
M:「そぅだけど、私、貧血だもん。(献血したら)死んじゃうよ。昔、(血を)やるっていったのに、
(薄いから)要らないって断られたよ。」
S:「いつのことですか、それは! 今は成分献血と言って血液の一部だけを使うこともあるようですよ。
健診に行かないのなら、せめて献血には行ってくださいね!私も付き合ってあげますから。」
M:「やだ、死ぬ〜ぅ」 とは、もはや言い抜けできない状態にされてしまった。残念!
しかたがない、翌週土曜日に出掛けることにしよう。
■翌週土曜日 新宿西口献血センター 15:00
ここは、新宿駅西口地下1階にある日赤献血センター
入口から入った後の時間の流れは、凡そ次のようなものでした。
@書類記入
係りA,B:「初めてですか?(献血のこと)この書類に記入して下さい。」
私:「はい、書きました。」
係りB:「お年は幾つですか?」
私:「そこに生年月日を書きましたが。」
係りB:「(繰り返し)お年はお幾つですか?」
私:「言わなきゃダメですか?(暗算しながら) ン歳です。」「あなたもシツコイね。」とは言わなかった。
A15:05 口頭チェック
書類提出後2〜3分経って。
係りC:「Mさ〜ん(私のこと)」と呼ばれ、簡単な間仕切りカーテン内に消える。
係りC:「Mさんですね?」
私:「はい」(さっきからそうゆうてるやろ」とは言わない。)から始まり、書類記入済みのことを口頭で再確認しながらレ印をつけて行く係りCさんに従う。裏ページの最後まで行って、やっと終了。
B採血前の予備採血
係りCさんに隣の椅子に移るように言われる。
係りD:「チェックの為の採血をしますから、採血しない方の腕を出して下さ〜い。」
腕を差し出すと上腕部にゴム紐がきつく巻かれ、血管が浮き出たところを手際よく、消毒され、採血針をチクッと突き刺されて、少し採血される。
C血液チェック
その場で採血した血をガラス板の上に1滴、2滴と、少し離れた情報から垂らし、それぞれに無色の液体を加える。その後も、係りDさんの作業が続く。
まず一方の血液の滴に平板ガラスを摺りつけて、それを顕微鏡で覗く。
次に、もう一方の血液の滴に棒を突っ込み、ぐじゅぐじゅっと掻き混ぜて、分離具合か、固まり具合を観察してるように見えた。その間、私がしていることは、係りDさんの作業をじっと見守ることだけであった。
係りD:「献血は可能です。400ml頂きますね。」
私:「以前は薄くってだめだと言われましたが、今回は貧血でないようで、嬉しいです。」
係りD:「その日の体調によっても違うんですよ。それでは、あちらでお待ちになって下さい。」
「あちら」で待つことにした。あちらとは、椅子席が10脚程ある待合席のことで、待合室と言うほどには広くない。全て(献血全般)が、さほど広くない一室内で行なわれている。
D採血の順番を待つ
係りE:「何かお飲みになりますか?」
飲み物の自販機(自動販売機)があって、温かい/冷たいコーヒーや紅茶、日本茶、オレンジジュースなどを紙コップでサービスしている。急に聞かれたので、メニューに何があるのか分からない。
私:「温かいココアを下さい。」
係りE:「ココアはありません。何か別のものでいかがですか?」
私:「それでは温かい日本茶を下さい。お幾らですか?」
係りE:「お金は結構です。」 と誇らしそうに言う。 「幾らなんてフツーは聞かないよ。」とその顔には書いてあった(ような気がする)。
Eまな板の上の鯉
お茶を飲みながら待つこと5分
係りF:「Mさ〜ん」 と呼ばれ、Mさんですね。血液型は何型ですか?」 と聞かれる。
私:温厚な私は今度も、「そこに書いてあるやんけ」 とは言わず、素直に 「はいMです。血液型は、A型です」 と答える。(私もまずまずの人格者だなぁ。)
係りF:「そこに横になって腕巻りをしてください。」
「そこ」とは採血室外側を取り囲んだ長椅子のこと。そう、病院の待合室に置いてある、あの細長いベンチ(程は長くない、短細ベンチ)のようなところです。
係りF:「今日は400ml頂きますね。」
私:「はい、どうぞ。」 まな板の上の鯉というフレーズが頭に浮かんだ。
F採血本番
「ぶしゅっ」 という音が聞こえた訳ではないが、採血針が腕に突き刺さったことを感じた。
係りF:「身体が冷えていますね」 と言い、私の腕を温かいオシボリの上に乗せる。しばし時が経つ。
<...また、経つ...>
私の血管は果たして血液をドンドコ送り出しているのだろうか? 採血タンク(?)が、こちらから見えないのでなんとも状況が分からない。しかし、血液はビュンビュンと迸るほどには、出ていないらしい<とほほ>。あら、隣で採血してた人はもう終わっちゃったよ。しかし、まぁ、焦ることもないか。これは学校の試験じゃないし、入試でもないものね。
係りF:「ご気分、悪くありませんか?」 と時々気遣ってくれる。この人は、態度や声、容姿、言葉使い、全てが優しい。
G採血終了
係りF:「お疲れ様でした。」
私:「終わりましたか。何分位かかりましたか?」
係りF:「7分ですね。」
私:「私は採血に時間が掛かった方でしょうか?」
係りF:「いぃえ、そんなことはありません。大体そんなものです。
献血手帳をお渡ししますので、あちらでお飲み物を召し上がりながらお待ち下さい。」
あちらへ戻る。
H採血後の休憩
係りG:「何を飲まれますか?」
私:「温かい日本茶を下さい。」
お茶を飲んで待つこと3分。
係りGさんが粗品(布製コイン入れ)とパンフレットを持って登場。
粗品は、献血回数により大きさが変わるようだ。といっても欲しい訳ではなく、単に観察しているだけ。
私の前に貰った人はバック大のものだった。
私のような初めての人には、小、何回も協力している人には大、というのは貢献度上、
当然のことだものね。
I素朴な質疑応答
係りA:「Mさ〜ん」
私:「は〜い。」
係りA:「はい、献血手帳です。詳しい血液検査結果は後日郵送します。
ご協力ありがとうございました。」
私:「結果ってどんなことが分かるんですか? コレステロールとかですか?」
係りA:「....です。」 と回答されたが、言われてることがさっぱり理解できない。ちょっと質問して、難しい回答が返って来た状態だ。
私:「結果に異常と出たら、どうすれば良いんですか?」
係りB:「ハガキの下に連絡先がありますから、そこで再検査を受けて下さい。」
私:「ハガキはいつ来るんですか?」
係りB:「1週間後です。」
私:「分かりました。では、さようなら」
ということでささやかな質疑応答を含めて所要時間は30分程で、
"S"と合流し長年の懸念事項を遂行した満足感とともに帰路についた次第です。
余談:元気に献血センターを出た、までは良かったのですが
、歩いている最中に急に気分が悪くなって、ヘナヘナと地下街にうずくまってしまった。
やっぱり貧血だった。無念じゃったが、新宿→麹町間をタクシーで帰社。1,600円、損した(笑)!?
●検査結果のお知らせ
検査成績のお知らせハガキ
あなたの血液型は |
ABO式の |
A |
Rh式の |
プラス |
●生化学検査(400ml)
検査項目 |
標準値1) |
今回の値 |
説 明 |
ALT(GPT)
|
5〜45 IU/g
|
26
|
肝臓に最も多く含まれる酵素です。
肝細胞が破壊されると血液中に流れ出すので、急性肝炎で最も強く上昇し、
慢性肝炎や脂肪肝(肥満)などでも上昇します。
激しい運動の後に一過性の上昇が見られることがあります。
|
AST(GOT) |
11〜37 IU/g |
25 |
心筋や肝臓に多く含まれ骨格筋、腎臓、血球にも認められる酵素です。心筋梗塞や急性肝炎、アルコール性肝障害などで上昇します。その他運動後に一過性の上昇が見られることがあります。
|
γ-GTP |
10〜65 IU/g |
30 |
肝、胆道、膵、腎などに多く含まれる酵素です。上昇する疾患は閉塞性黄疸、肝炎、アルコール性障害などです。病気がなくても長期飲酒者では上昇することが多く1ケ月位禁酒するとある程度正常化します。
|
総蛋白 TP |
6.5〜8.2 c/デシg |
7.5 |
血清中には80種類以上の蛋白が含まれ、種々の機能を持ち、生命維持に大きな役割を果たします。その総量を総蛋白質として測定しています。
|
アルブミン ALB |
3.9〜5.0 c/デシg |
4.5 |
血清蛋白の50%以上を占めるアルブミンは、病気などで栄養が悪くなると減少するため、健康診断のスクリーニングとして大きな意味があります。
|
アルブミン対グロブリン比 A/G |
1.2〜2.0 |
1.5 |
血清蛋白はアルブミン(A)とグロブリン(G)に分けられ、その比率は健康な人では一定の範囲にありますが、病気によってはその比率が変化(主として減少)してきます。
|
コレステロール CHOL |
110〜250 mg/デシg |
219 |
血清脂質の1つで、一般に脂肪の多い食事を続けていると上昇します。また肝臓などで作られ、肝、胆道、腎、甲状腺の病気でその値が上下することがあります。血清コレステロールが多くなると動脈硬化を起こしやすいとされています。
|
採血種類 |
|
400ml |
献血には、200ml、400ml、分献献血者があります。
|
(東京赤十字血液センターハガキより)
■血球係数検査(400ml)
検査項目 |
標準値1) |
今回の値 |
説 明 |
赤血球数 RBC |
375〜570×104/μg
(男女トータル) |
450 |
赤血球は血液の主な細胞成分で、酵素を肺から各組織へ運ぶ働きを持っています。
|
ヘモグロビン量 Hb |
11.2〜17.4 c/デシg
(男女トータル) |
12.9 |
血液の赤い色は赤血球に含まれるヘモグロビン(血色素)によるもので、赤血球の働きの中心となっています。 |
ヘマトクリット値 Ht |
34.0〜50.4 %
(男女トータル) |
39.8 |
ヘマトクリット値は一定の血液量に対する赤血球の割合(容積)をパーセントで表したものです。
|
平均赤血球容積 MCV |
80.0〜100.0 fg |
88.4 |
赤血球1個の平均的容積、すなわち赤血球の大きさの指標となるもので、赤血球数とヘマトクリット値から算出したものです。
|
平均赤血球ヘモグロビン量 MCH |
26.0〜34.0 Pc |
28.7 |
赤血球1個に含まれるヘモグロビン量を平均的に表したもので、赤血球数とヘモグロビン量から算出したものです。
|
平均赤血球ヘモグロビン濃度 MCHC |
32.0〜36.0 % |
32.4 |
赤血球の一定容積に対するヘモグロビン量の比をパーセントで表したもので、
ヘモグロビン量とヘマトクリット値から算出したものです。
|
白血球数 WBC |
35〜100×102/μg |
75 |
白血球は細菌などを貧食し、免疫情報を伝達し、
さらに免疫能を発現して生体防御にかかわっています。
細菌感染症があると一般に白血球数は増加しますが、
ウイルス感染症の場合はかえって減少することもあります。
|
血小板数 PLT |
14.0〜38.0×104/μg |
15.4 |
血小板は出血を止めるための重要な働きを持ち、
この値が極端に減少すると出血を起こしやすくなります。
|
(東京赤十字血液センターハガキより)
1)上記の標準値は、献血を希望された方々の検査結果から算定したもので、正常または異常を表すものではありません。
# 表示のある方は、標準値からはずれていますので医療機関での受診をお勧めします。
*表示のある方は、検査用検体の不良等で検査をすることができませんでした。
■検査結果
永年、飲むは喰うは、運動しないはの不摂生を重ねた結果が身体に現れている私ですが、本人がびっくりする意外な結果でした。不思議ですが、肥満でもなく、コレステロールに問題がなく、貧血でもないということで、身体は本人が思っているほど柔じゃないということでしょうか。何はともあれ感謝感謝の検査結果でした。
後日コメント)最近は、健康診断のための献血という不順な(?)行為は歓迎されないようです。
麹町便り2002.10.15
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