ジュウリョウ(十両)とは
ジュウリョウ(十両)とは、日本、中国、朝鮮等の東アジア原産でヤブコウジ科ヤブコウジ属の耐寒性常緑小低木です。
藪の中で自生し、樹高は低く、茎は直立し枝分かれせず、根を伸ばし群生します。
葉は緑色で光沢があり、葉縁に細かい鋸歯があり、3〜4枚が輪生して茎先につきます。
葉は、蜜柑=柑子(こうじ)の葉に似ていることから、別名でヤブコウジ(薮柑子)とも呼ばれます。
初夏、葉脇から伸びた散形花序に白い小花を下向きに咲かせます。
根茎にはせきどめや湿疹の薬効があるとされ「紫金牛(しきんぎゅう)」という生薬とされます。花後の冬に成る小さい球形の可愛い赤い実が、11月頃?翌年まで落下しないので、縁起が良い植物とされ、正月の寄席植えに使われます。
後述するように旧貨幣貨幣では一番安い価格がつけられていますが、万葉時集では「ヤマタチバナ(山橘)」として歌にうたわれた由緒ある植物です。因みに、万葉集で「山橘」の他にもう一つよまれている「花橘」とは「たちばな(橘)」=現在の「蜜柑(みかん)」(現在の温州ミカンのように果実は大きくない)のことで、花を主体とする場合に「花橘(はなたちばな)」と呼ばれます。果実を主体とする場合は、単に「たちばな」と呼ばれます。
花後の赤い美しい果実が万葉集でよまれる
万葉集では、十両=山橘の花が詠まれています。万葉呼名:やまたちばな
山橘を詠んだ万葉集の巻と作者名
第二十巻 作者: 大伴家持
【原文】
氣能己里能 由伎尓安倍弖流 安之比奇乃 夜麻多知波奈乎 都刀尓通弥許奈
【よみ】
氣(け、消)能己里(のこり、残り)能(の) 由伎(ゆき、雪)尓(に)安倍弖流(あへてる、映え照る) 安之比奇乃(あしひきの) 夜麻多知波奈(やまたちばな、山橘)乎(を) 都刀(つと)尓(に)通弥(つみ、摘み)許奈(きな、来な)
【意味】
消え残る雪に映え照る山橘(=十両)をつと(土産)に摘んでこよう。
旧貨幣の名前が付く植物
マンリョウ、センリョウ、ヒャクリョウ、ジュウリョウのように旧貨幣名がついている植物は果実の多さや樹高の高さに拠ります。果実が多いものから少ないものの順に、マンリョウ(万両、学名:Ardisia crenata)、センリョウ(千両、学名:Chloranthus glaber)、ヒャクリョウ(百両、学名:Ardisia crispa)、ジュウリョウ(十両、学名:Ardisia japonica )となります。この内、センリョウはセンリョウ科で、その他は、ヤブコウジ科です。
一般名:ジュウリョウ(十両)
、学名:Ardisia japonica
、別名:ヤブコウジ(薮柑子)
、分類名:ヤブコウジ科ヤブコウジ属
、原産地:日本、中国、朝鮮等の東アジア
、樹高:10〜20cm
葉色:緑 葉縁:細かい鋸歯 葉のつき方:互生
開花期:6〜8月 花径:0.8cm 花色:白 葉身長:7〜15cm
果実色:赤 果実径:0.5〜1cm 観賞期:11〜翌年5月
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