シンテッポウユリ(新鉄砲百合)とは
シンテッポウユリ(新鉄砲百合、学名:Lilium x formolongo)とは、夏〜初秋に、白い筒状花を咲かせるユリ目ユリ科ユリ属の耐寒性多年草です。
九州〜沖縄原産のテッポウユリ(鉄砲百合、学名:Lilium longiflorum)と台湾原産のタカサゴユリ(高砂百合、学名:Lilium formosanum)をかけ合わせて作られた百合で、テッポウユリに、タカサゴユリの望ましい遺伝子を追加して、夏〜秋開花としました。葉は細いです。
シンテッポウユリは、その後も度々交配を重ねられて、シンテッポウユリにテッポウユリやタカサゴユリなどを、何度も掛け合わせたことから多数の交雑種が生まれました。繁殖を種子で行う場合、安定した品種にはならないことから、同一の品種を保つために、花被片の培養から繁殖を行うようになっています。
テッポウユリとタカサゴユリの違い
テッポウユリもタカサゴユリも、花は白い筒状花で、同じ大きさの花(花径:10〜15cm)を咲かせます。
違いは、高砂百合の方が草丈が高く(草丈:70〜150cm)、開花時期が夏〜初秋(7月〜9月)と遅く、花被片(筒状花)の外側に赤い縞があり、葉幅が細い(0.4〜1.3cm)ことです。一方、
テッポウユリは草丈が低く(草丈:50〜100cm)、開花は春〜初夏(4月〜6月)と早く、花被片外側は白く、葉幅が広い(2〜3cm)。
テッポウユリと、シンテッポユリ&タカサゴユリの違い
テッポウユリの葉は太いですが、タカサゴユリとシンテッポウユリの葉は細いです。
テッポユリは春に開花しますが、シンテッポユリ&タカサゴユリは夏に開花します。
シンテッポウユリとタカサゴユリの違い
タカサゴユリとシンテッポウユリは似ており、以前は、タカサゴユリは筒外側に赤縞があり、シンテッポウユリには赤い縞が無いということが判定基準でしたが、タカサゴユリにも赤い線がないものがあり、シンテッポウユリも交雑を何度も繰り返されることによってタカサゴユリと見分けがつかない状態となっています。
野生の白い「問題の植物」
葉が細く、花被片中肋の色(テッポウユリ:白、タカサゴユリ:紫斑)、葯色(テッポウユリ:黄色、タカサゴユリ:赤褐色)、開花期(タカサゴユリ:7月〜8月、テッポウユリ:4月〜6月)
「花被片中肋(花筒の外側のこと)が白いのが新テッポウユリで、薄茶色(赤系)の筋が入るのが高砂ユリ」と言われますが、「日本帰化植物友の会通信」に「タカサゴユリか、シンテッポウユリか?」*という興味深い資料がありました。
シンテッポウユリ(別名:タカサゴユリ)
シンテッポウユリは、テッポウユリとタカサゴユリから、人工・自然交雑されて生まれ逸散し野生の「問題の植物」となっており、何とも名前の付けようがないようです。
全農協さんによる「結び」で、この「問題の植物」を。シンテッポウユリ(別名:タカサゴユリ)または、タカサゴユリ(別名:シンテッポウユリ)と記載するのが良いのではないかという提案がありましたが、記事が少し前のものなので現在はどうか定かではありません。
*「日本帰化植物友の会通信全農協 No.5(2005年10月23日発行)「タカサゴユリか、シンテッポウユリか?」
https://www.zennokyo.co.jp/wp-content/uploads/2022/11/znk-tomonokai05.pdf
一般名:シンテッポウユリ(新鉄砲百合)、学名:Lilium x formolongo、分類名:植物界被子植物門単子葉植物綱ユリ目ユリ科ユリ属、原産地:日本(園芸品種)、草丈:70〜150cm、葉長さ:9〜13cm、葉幅:0.2〜0.3cm、花質:芳香は弱い、開花期:8月〜9月、花色:白、花径:10〜20cm、果実型:刮ハ、刮ハ長さ:7〜9cm、注記:タカサゴユリとテッポウユリの交配種(日本)
その他、ユリの園芸品種
ユリ属には、ヤマユリ(山百合)やカノコユリ(鹿の子百合)等の交配品種である
オリエンタルハイブリッド や、
アジアティックハイブリッド(Asiatic hybrids)
という園芸品種もあります。
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11月の花(2008年)
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野草図鑑
ユリ(百合)
ユリ分類表
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