ザゼンソウ(座禅草)
ザゼンソウ(座禅草)とは、発熱植物として知られるサトイモ科ザゼンソウ属の多年草です。
初春、地面からほんの申し訳程度に出た短い花茎先端に、多数の薄黄色の小花を集めた塊(肉穂花序)と
その周囲を一枚の頭巾のようなチョコレート色の花(実際は、仏炎苞)が取り囲みます。
この段階では、まだ葉は出現しません。
自家発電をする珍しい植物
サトイモ科の植物は、熱帯地域のものが多いですが、本種は寒冷地のものです。
雪解け時期に颯爽と先陣を切って表われる、というよりは、自身が発熱して雪を溶かして出てくる自家発電型の珍しい植物です。
植物では珍しく発熱遺伝子を持っていますが、その仕組みは開花の際に、根茎に予め貯蔵しておいたデンプンが、肉穂花序の細胞の中にあるエネルギー発生器官のミトコンドリアにより酸素と結合することによって外気温にかかわらず20〜30度の温度を発生し雌花の開花期の2週間程の間、持続させるとのことです。
開花後に脇から出る葉は、最初巻かれていたものが団扇形(腎臓形)に開きながら伸張するので、
その様子をキャベツに見立てられました。この頃、仏炎苞は枯れ落ちて、種が成熟します。
雌性先熟の、雌雄が同居する両性花で、受粉に必要な蝿を呼び寄せるため全草から異臭と熱を放つので、
英名ではスカンクキャベツと呼ばれます。種小名の「foetidus」とは、「悪臭のある」という意味です。
和名の由来は、肉穂花序の形が座禅をしている達磨大師に例えたことに因り、別名でダルマソウ(達磨草)とも呼ばれます。
草姿は ミズバショウ(水芭蕉) を赤茶色にしたような感じの野草です。
咲き始めの頃のザゼンソウは、同時期に咲くフクジュソウ(福寿草)
と同じ位で背丈が低いです。
筑波大学菅平高原実験センターにより、ハス(蓮、学名:Nelumbo nucifera)の花托や、ヒトデカズラの肉穂花序も、ザゼンソウと同様、発熱することが報告されています。
一般名:ザゼンソウ(座禅草)
、学名:Symplocarpus foetidus
、別名:ダルマソウ(達磨草、肉穂花序花のことを)、スカンクキャベツ(Skunk Cabbage(全草に異臭がしてキャベツのように巻かれた葉が開くことから)、Eastern Skunk Cabbage、APG植物分類体系:植物界被子植物真正単子葉類オモダカ目サトイモ科ザゼンソウ属、生息分布:北海道〜本州の寒冷地帯(東北〜北陸・北関東)の日本、中国等の東アジア、北米の東海岸 環境:山地の林床、寒冷な湿地、生活型:多年草、草丈:15〜30cm、花後に葉が出る、葉身長:40cm、葉柄:長い、葉色:緑、葉:単子葉、根生する心形の葉、開花期:1〜3月、仏炎苞色:赤茶色 肉穂花序:薄黄褐色の肉穂花序に100個の両性花(小花)がつく 小花:雌性先熟の両性花 花序形:肉穂花序、積雪時に仏炎苞が出きて肉穂花序が発熱し周囲の雪を溶かし花序の悪臭でハエ(蠅)を誘きよせる、果実型:液果、受粉媒介:昆虫、外敵:野鼠
●サトイモ科の植物
・アンスリウム(Anthurium)、
・ウラシマソウ(浦島草)、
・オオハンゲ(大半夏)、
・カラー(Calla)、
・ザゼンソウ(座禅草)、
・サトイモ(里芋)、
・スパティフィラム(Spathiphyllum)、
・セレベス(Celebes)、
・マムシグサ(蝮草)
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